ひかりoneの元となったTEPCOひかりとは、東京電力が以前提供していたFTTHという光ファイバー接続サービスのことです。TEPCOひかりで使用されている回線の起源は東京電力の専用線で、東京電力が1978年に日本で初めて光ファイバーを実用化したのです。以後は子会社の東京通信ネットワークを通じて通信サービスを提供するようになり、当初、東京電力本体では一般向けのサービスは行なっていませんでした。一般向けのネットワーク事業を行なうことにしたのはダークファイバ等の帯域を活用するようになってからで、このサービスでの商品名が「TEPCOひかり」というものでTEPCOは東京電力の英語名の略称となっています。

サービスの形態は、インターネットサービスプロバイダが一括契約の窓口となる方法で、マンションタイプでの契約を除くすべての回線は最大100Mbpsの占有型で、近隣利用者の利用状況にも影響なくスループットが維持されるものです。インターネットサービスプロバイダによっては、光ファイバーケーブルを使った固定電話サービス（通称IP電話）も使用可能となっています。TEPCOひかりは占有型の光ファイバーですから、NTTのBフレッツや他社の光ファイバーサービスのように光ファイバーを他の世帯と共有しないので、理論上のクオリティは間違いなく最も高いとされています。

理論上のクオリティは間違いなく最も高いTEPCOひかりですが、実際の転送速度はTEPCOひかり網とインターネットサービスプロバイダ（ISP）間の帯域や、国内のバックボーンがボトルネックになってしまうため、あまり代わり映えしない場合があったようです。

又、サービスの領域ですが、理論的には東京電力の管轄地区である関東地方、山梨県、静岡県の富士川以東においてのみの提供が可能のサービスですが、2006年当初では、その中でも東京都とその周辺地区となる神奈川県北東部、埼玉県南部、千葉県北西部などが殆どで、栃木県・静岡県では全く提供されておらず、東京都においても青梅市など一部の市部では提供されませんでした。

一方、KDDIでは2003年に光プラスとして各主要都市をサービスエリアとする光ファイバー網によるサービスの提供を開始していましたが、競合相手であるNTT東日本やNTT西日本が提供するフレッツには全く歯が立たない状況でした。何しろ光ファイバー自体がNTTのものを借用していたのですから、NTTとの対抗という本来の意味も曖昧なものとなっていました。そんな両社の背景があって、2006年、東京電力は、KDDIのFTTHサービスである光プラスとの事業統合をすると発表したのです。ここで名称は「ひかりone」と言う新しいサービス名となり、サービスを開始することになりました。

対応プロバイダーは2006年夏までは、DION、@niftyの2社のみの受付にすぎませんでしたが、その後、急速に対応プロバイダーが増加するようになり、2009年8月現在では、au one net（旧DION）、@nifty、DTI、BIGLOBE、So-net、ASAHIネット、@TCOMという7つのプロバイダーに対応するまでになりました。

上下最大100Mbpsという容量ですから、パソコンを複数台接続しても快適なインターネットを楽しむ事ができるのは評判となり、更にその背景には、従来の最大100Mbpsから10倍にアップした最大1Gbpsの超大容量通信サービスの提供を2008年から開始したこともあるようです。

ちなみにbpsという単位はインターネットの世界で「速さ」を表す単位であり、それもデータが流れる速さのことです。bpsというのは、bits per second の省略語であり、日本語にすると「ビット／秒」で、１秒間に何ビットのデータが流れるのかという速さを表す単位となります。M（メガ）というのは1000Kのことで、G（ギガ）というのは1000Mのことです。

この時は料金プランの名称として「ギガ得プラン」という１戸建向けのプランを設定しました。この1戸建向けのサービスであるホームタイプでは従来の関東地方に加え、NTTの回線を借用した北海道の一部地域のサービスも提供されるようになっています。こうしてNTTとの差を次第に詰めていったのです。

ひかりoneの特徴としては、高速で大容量下り最大100Mbpsまたは1Gbpsのインターネット接続サービスがありますが、それ以外にも、一般電話に相当する品質、信頼性、機能を備えた電話サービスや、最大50チャンネルを揃えている多チャンネルテレビ放送もあります。又、約5000本から構成されているビデオ・オン・デマンド（VOD）や、カラオケ配信を行なうテレビサービスも一本の光ファイバーで提供しているのです。

ビデオ・オン・デマンドはVideo On Demandと書き、視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴する事が可能なサービスです。視聴者が要求した時点でコンテンツが配信され、しかも放送では不可能な映像の一時停止、巻戻し、早送りなどの操作も可能で利便性が非常に高いのが利点です。例えば、ある映画を観たくなった時に、いちいちレンタルビデオ店に借りに行ったりする必要が無くなり、ビデオ・オン・デマンドならパソコンでインターネット経由で視聴する事ができるわけです。

ただし、残念ながら旧TEPCOひかりから引き継がれたプランの契約者には、この電話サービスやテレビサービスは提供されていないので再契約が必要となります。仕様としては、高速光アクセスネットワークを複数に分岐するGE-PONを使って光ファイバーを直接宅内に引き込むホームタイプと、VDSL構内LAN等で提供するマンションタイプの2種類があります。他には特殊ですがUR都市機構住宅専用のマンションタイプもあります。

ひかりoneでは電話サービスにも特徴があり、これは2003年にKDDIが他社に先駆けて行ったもので、当時の光プラスマンションタイプで採用された光ファイバーを使った直収電話サービスです。これなら一般的にNTT加入電話の場合に必要となる高額ないわゆる電話加入権である施設設置負担金が不要で、更に、電話の月額基本使用料も525円と非常に低廉なのです。従って、従来は躊躇する人も多かった固定電話を引くのが比較的容易になっているのです。

これは通話料においても固定電話宛の場合なら日本全国市内通話並みの料金でかけられますから、NTT加入電話の通話料と比較するとその料金差は非常に大きくなります。尚、マンションタイプならばばNTTの光電話とは異なり、電話サービスだけの申し込みも可能です。その際の利用料金も月額1470円で済みます。

テレビサービスについての詳細ですが、月額は2520円で、TV放送40チャンネルという多チャンネルが見放題となり、更に別途有料チャンネルの申し込みをすれば、最大50チャンネルを視聴することが可能になります。この月額利用料には、ビデオ・オン・デマンド3本分とおためしカラオケ10曲分の利用料や、機器のレンタル料も含まれているから更に音お得感があります。

又、ひかりoneの説明や、宅内レイアウト、導入相談等を受ける、おまかせアドバイザーという無料サービスを行っていて、他社が電話サポートのみに徹している状況下、無料で顧客宅へ訪問し、説明等を行うスタイルは異例だといえます。特にインターネットなどはビギナーとって最良のサポートでしょう。